資料請求お問合せ
プレスリリース
2025.07.16

チャレナジー、三宅島に“乱流に強い” 可搬式置き基礎型小型風力発電機を設置~島嶼のレジリエンス強化へ~

2025年7月16日

株式会社チャレナジー(本社︓東京都墨田区、代表取締役︓清水敦史、以下 当社)は、2025年6月21日、三宅島に可搬式置き基礎型小型風力発電機(以下、本実証機)の設置を完了し、島嶼での実証を開始しました。
本件は、東京都環境局・環境公社主催の「次世代再生可能エネルギー技術社会実装推進事業」による実証で、過酷環境下での安定稼働と、遠隔地での保守運用体制を確立することで、他の島嶼地域への導入に向けた基盤の構築を目指すものです。これにより島嶼におけるレジリエンス強化が期待されます。

■ 開発背景
島嶼のエネルギー課題と再生可能エネルギーの必要性
日本には2023年時点で416の有人島が存在しますが、主にディーゼルエンジンなどの内燃機関による発電に依存しており、以下のような課題を抱えています。

(1) 高コスト構造︓燃料費に加え燃料の輸送コストがかかるため、発電コストが本土より高くなりやすい。
(2) CO₂排出の多さ︓化石燃料への依存により、温室効果ガスの排出量が多い。
(3) エネルギー供給の脆弱性︓台風や地震などの自然災害により、燃料の供給が途絶えると停電リスクが高まる。

こうした背景から、島嶼地域ではエネルギーの地産地消とレジリエンスの向上が求められており、島嶼の過酷環境でも安定的な発電を可能とする新たな再生可能エネルギー(以下、再エネ)の開発が課題となっています。

東京都も「ゼロエミッション東京戦略」などを通じて脱炭素化の実現を掲げており、三宅島などの島嶼への再エネ導入はその実現に資する重要な取り組みと位置づけられます。

島嶼における風力発電機の課題
既存の再エネの一つである風力発電機には以下のような課題があります。

(1) 設置環境の課題︓ 島嶼は、風の向きや強さが不安定な「乱流」になることが多く、乱流下でも効率的に発電を行う必要がある。特に三宅島のような台風常襲地域では、さらに強風や暴風に対する耐久性も必要となる。
(2) 初期導入コストの課題︓ 島嶼での導入は、資材の輸送や、基礎工事・施工などを含めた初期費用が高額になりやすく、導入のハードルとなる。
(3) 運用管理の課題︓ 島嶼など、アクセスや資材の現地入手が困難な遠隔地では、定期的なメンテナンスやトラブル対応などの保守費用が高額になる。

こうした課題に対し、弊社では「乱流や強風でも効率的に発電が可能」「初期導入コストの低減」「運用管理の負担軽減」などの特徴を持つ小型風力発電機を開発しています。

■ 本実証機の概要
弊社が開発・販売している過酷環境向け小型風力発電機「Type E」は、羽根のないサボニウス式を採用しています。
サボニウス式の風車は、低回転であるため、強風や突風で暴走するリスクを低減でき、騒音も小さくなります。また、風向変化の影響を受けないため、乱流に強い風車です。
折損事故が発生しやすい片持ち構造の羽根を排除し、風車そのものを独自のモノコック構造とすることで、過酷環境でも破損しにくいタフさを実現しています。
本実証機ではさらに、島嶼での活用に向けて下記のような改良を実施しています。

「乱流や強風でも効率的に発電」するため、発電可能な風速を、これまでの14.5m/sから18.0m/sまで拡大し、より多くの発電量を得られる制御手法を開発しました。
加えて、輸送しやすい支持ポールや、可搬式の基礎を開発し、施工期間短縮による「コスト低減」を実現しました。
さらに、設置後の「運用管理の容易性」を実現する、遠隔管理システムを新たに導入しました。

・特徴
(1) 乱流や強風でも効率的に発電が可能
   従来機(Type D)のカットアウト風速︓14.5m/s
   本実証機(Type E)のカットアウト風速︓18.0m/s
(2) 初期導入コストの低減
   通常基礎の施工期間︓数週間~1ヵ月
   置き基礎の施工期間︓1日
(3) 運用管理の負担軽減
   遠隔管理機能を新たに導入することで、遠隔地から24時間モニタリングが可能
   さらに、衛星通信と組み合わせれば、非常時でも監視カメラ映像の取得やモニタリングを継続可能

■仕様
寸法・重量
   サイズ︓3.5m(縦) x 3.5m(横) x 5m(高さ)
   支柱形状︓角柱+バッテリー、コントローラーは支柱内に設置
   質量︓約5t
定格出力
   風力発電 100W
   太陽光発電 200W

■ 実証内容
本実証機を島嶼に設置し、過酷な環境下での安定稼働と、遠隔での保守運用体制を確立することを目的としています。
本実証を通じて、他の島嶼地域への導入に向けた基盤を構築することを目指すものです。

(1) 実証期間︓2025年4月~2026年3月(予定)
(2) 実施場所︓東京都三宅村
(3) 導入技術︓垂直軸型風力発電機(100W、1基)

・重塩害対策を施した仕様の検証
・島嶼への輸送、効率的な設置工事の検証
・風車の設備利用率、発電量のデータ取得
・衛星通信への電力供給の実証
・メンテナンス体制および方法の検証

■今後の事業展開
本実証機で得られた成果をもとに、島嶼向け小型風力発電機を国内外へ展開することで、島嶼地域におけるエネルギー自給率とレジリエンスの向上を目指します。

■株式会社チャレナジー 会社概要
福島の原発事故をきっかけに日本のエネルギー問題に着目し、世界的にも気象環境の厳しい日本において風力発電を普及させるべく、風向風速の変化に強い風力発電機の開発を行っています。
当社は”風力発電にイノベーションを起こし、全人類に安心安全なエネルギーを供給する” をミッションに掲げ、再生可能エネルギーの未来を切り拓く技術と社会実装に挑み続けています。
https://challenergy.com

一覧へ戻る